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排泄介助の手順とポイントを分かりやすく徹底解説

排泄は、人が生きていくうえで欠かせない生理機能のひとつであり、非常にプライベートな行為になります。
そのため、排泄の介助は利用者が最も頼みにくいものです。
自然な排泄と、利用者が頼みやすい環境をつくることが大切です。
排泄介助についての、正しい排泄介助の手順とポイントについて解説していきます。

排泄介助

人は誰でも、「排泄する姿を見せたくない」「できることなら自分でしたい」と考えています。
恥ずかしさや遠慮の気持ちが先に立って、ぎりぎりまでいわなかったりすることもあります。
また、介護職員が忙しくしているのを見て、頼むタイミングを逃し、我慢してしまうということもよくあります。
介護職員は、こうした利用者の気持ちを十分に理解したうえで、できるだけ自然な排泄を目指し、支援していきます。
また、プライバシーに配慮した環境をつくり、失禁や便秘などを防ぐことが必要になります。
そのためにも、利用者が排泄の介助を頼みやすい環境をつくることが重要になります。
面倒くさそうな態度や言動は厳禁です。
また、ほかの仕事をしているときに呼び出され、待たせるようなことがあると、利用者の中には「やっぱり介助したくないのだな」と受け止める人もいます。
ときには「“私”の排泄を手伝うのが嫌なのだ」と間違った理解をされる場合もあるので注意が必要です。
このようなときは、「今、これをしているから、3分待ってくださいね」と、具体的な時間を伝えたり、長く待たせるようであれば「どうしても手が離せないから、ほかのひとに行ってもらいますね」と声をかけ、ほかの職員に頼んだりします。

知っておきたい排尿・排便のメカニズム

高齢者であれば、気温や気候、水分補給の状態などの条件の違いはありますが、日中5~8回、夜間0~2回が正常な回数とされています。
膀胱が委縮するため少量の尿が溜まってもすぐに尿意が起こり、頻尿になりがちです。
逆に膀胱の充満感が鈍くなり、膀胱がいっぱいになるギリギリまで尿意を感じないケースがあります。
その場合、尿意を感じたときはすでに遅く、我慢できずに失禁してしまいます。
頻尿の人にもそのつど優しく、尿意を感じにくい傾向にある人にはこちらから「そろそろトイレに行きましょうか」と声をかけてあげましょう。
排便は、心身がリラックスしているときの食後、とりわけ朝食後が絶好のタイミングです。

排便の際、正しい姿勢とは前傾姿勢。前傾姿勢をとることで、肛門が自然と開き、できるだけ腹筋に力を入れて腹圧を加えると、スムーズな排便を促せます。
自分で座位を取ることができる利用者には、できるだけ座位での排泄ケアをしましょう。

トイレまで移動できる場合の介助方法

利用者さんが失禁が増えてきたとしても、安易におむつを使うのではなく、できるだけトイレに行き便座に座ってもらうようにします。
利用者さんの自立につながり寝たきりの予防にもつながります。移動や立ち座りの際は常に転倒に注意が大切です。

①誘導

・安全な移動を妨げるような障害物の有無をチェックする
・歩行の状態に合わせて手引き歩行や、車椅子を使用するなどの介助をする
・歩く場合には利用者さんの歩くペースに合わせる。

②衣服の脱衣

・介護職員がすべて介助するのではなく、利用者さん本人ができることは本人に任せる
・介護職員が介助する際には、利用者さんに手すりをしっかりと持ってもらってから、衣服や下着をおろす
・プライバシーに配慮を大切に手早く介助をする

③便座に座るまでの介助

・手すりがある場合は、利用者さんに手すりを利き手で握ってもらい、そのあとに座ってもらう転倒に注意する
・便座に座ったあとには、利用者さんの足が床にしっかりとついているか確認する

④排泄中は外で待機

・座位を安全に保てる利用者さんであれば、排泄が終わったら呼んでほしいことを伝え、介護職員はトイレの外で待つ
・外で待つ際にはトイレの鍵はかけず、ドアを少しだけ開けておき、何かあればすぐに対応できるようにする
・座位が安定しない方などの場合には、横に付き添い見守りをする
・横に付き添う際には、下腹部にタオルをかけるなどをしてプライバシーに配慮する
・介護職員は物音などを立てずに、利用者さんがゆっくりと排泄できるように配慮する

⑤排泄終了の確認(声かけ)

・排泄が終わったという合図を待つ。合図がないようであれば、焦らせないように配慮した声かけを行い状況の確認をする
・トイレで排泄をしているときに瞬間的に力を入れることで、血圧が上昇してめまいなどが起こることもあるので、異常がないかチェックする

⑥清拭

・利用者さん本人が自力で清拭ができないときには、職員が素早くケアをする
・介助する場合には、利用者さんに手すりをしっかりと握ってもらい腰を浮かせてもらう。姿勢が不安定であれば職員が腰を支える
・お尻の清拭は前から後ろに向けて行う
・必要であれば陰部の洗浄をする
・排泄物や皮膚の状態をさりげなく観察して健康状態を把握する

⑦衣類の着衣

・利用者さんが自分で衣服を着ることができるのであれば自分でしてもらう
・介護職員が介助する場合には、手すりを握って立ってもらいズボンや下着を上げる。姿勢が不安定なときには、介護職員は利用者さんの腰などを腕や足を使い支える

⑧排泄後の声かけ

利用者さんが自信を持てるような言葉かけをする(失敗なく排泄が上手にできた、排泄物の状態から健康そうであることなど)

ポータブルトイレを使用する場合の介助方法

ポータブルトイレとは、持ち運び可能な簡易型トイレのことです。
ポータブルトイレは、「足腰の力が弱くなってきたが短い距離は自分で歩くことができる」「トイレに座って排泄をすることができる」などの利用者さんが利用します。
また、夜にトイレに行きたくなることが多い方や、暗くて危ないこと時に使用します。

①ポータブルトイレのセッティング

ポータブルトイレをベッドの側で安全な位置に置きます。
ベッドサイドに置いて使用する場合は、ベッドと座面の高さを同じくらいに揃えることで移乗しやすくなります。
プライバシーを配慮し間仕切りなどの設置ができる場合には使用します。

②声掛け・ベッドからの移動介助

介助が必要である利用者さんであれば、介護職員が体を支えて移乗の介助を行いポータブルトイレへ移動してもらう。

③便座に座るまでの介助

衣類や下着を脱衣する介助が必要な利用者さんであれば、ポータブルトイレに向きあうように手すりやひじ掛けを持って立ってもらい(介護職員の肩につかまってもらう場合もある)、その間に脱衣を済ませる。よろめかないように気をつけます。

④排泄中は離れて待機

見守りや介助が必要でなければ、介護者はその場を離れて、利用者さんにリラックスした状態で排泄してもらいます。

⑤排泄終了の確認(声かけ)

利用者さんに呼ばれたら近づきます。しばらくしても呼ばれなかった場合は、何度か声かけをしましょう。

⑥清拭

排泄物や皮膚の状態を観察し、陰部洗浄・清拭をします。
陰部を拭くときは、細菌が尿道に入らないように、前から後ろへ拭きます。

⑦衣類の着衣

利用者さんに介助者の首に両腕を回してもらい、立っているあいだに下着とズボンを上げる。

⑧排泄後の声かけ

高齢になったとしても、人に下の世話をされるのは誰だって嫌です。
恥ずかしい、情けないという気持ちにさせてしまうため、かける言葉に気をつけます。
排泄物の量や匂いに関しては口にしないようにし、楽しい会話を心がけましょう。

排泄介助でのポイント

尊厳を傷つけない

これまで独力でおこなってきた排泄行為の一部を、家族とはいえ人に見られるわけですから快く受け取る人はいません。
排泄は非常にプライベートな行為であるため、ほとんどの人は誰かの手を借りることに抵抗があるものです。失禁などの失敗をしたときにネガティブなこと言われると、自尊心が傷つき他の生活機能にも影響が出る可能性があります。排泄に失敗したときの言葉がけには十分注意し、反対にうまくできたときは、一緒に喜ぶようにしましょう。

出来ることは自分でやってもらう

失禁の回数が増えると、介護する側はおむつの使用を考えるかもしれません。そのほうが処理に時間がかからないからです。
しかし、まだ尿意や便意の意思表示が可能なのに、おむつに排泄させることは、自尊心を傷つける行為と受け取られがちです。
また、トイレまでの移動がなくなる分の運動量も減り、筋力が衰えるというデメリットもあります。
すべてに介助をしてしまい、指示を出してしまうと、本来の目的である自立状態からより遠くなってしまいます。
おむつの使用は最後の手段と考え、できることは自分でやってもらうことで、排泄の自立を目指しましょう。

水分の摂取を控えさせない

一度、排泄で失敗してしまうと、同じ過ちを繰り返したくない一心で、極力トイレに行かないで済むよう水分補給を拒むケースが想定されます。
しかし、体に必要な水分を蓄える機能が低下している高齢者は、脱水症状や便秘になってしまいがちです。さらには、脳梗塞などの一因になる可能性もあります。
排泄の失敗を気にすることよりも、体内の水分が不足することの危険性を伝え、水分を積極的にとってもらいましょう。

時間を決めてルーチン化する

1日のスケジュールの中で、例えば食事の後や外出の前など、決まったタイミングで排泄する習慣をつければ、失敗の回数を減らすことができます。

排泄のパターンを掴む

排泄で失敗しないためにも、家族は被介護者の排泄のタイミングを知っておくことも重要です。
その時間を見計らって早めにトイレに誘導出来ればスムーズな排便が可能となるでしょう。ただしこのときも急かしたり、焦らせたりするような言動は禁物です。
また毎日同じ時間にトイレに行くような習慣ができると、リズムもつかみやすくなります。

 

まとめ

  • 排泄の自立は生活の自立につながっています。
    排泄を介助してもらう高齢者の気持ちに寄り添わずに、介護者が効率の良さだけを優先してしまうと、被介護者の自尊心が傷つき、生活に対する意欲が低下することもあります。
    それが原因で認知機能に良くない影響があるおそれもあります。
    一方、自力で排泄することは高齢者にとっての生活意欲に大きな影響を与え自信となり、生活機能の向上につながることも期待されます。
    できるだけ便座に座って排泄を行うことで、日々を意欲的に生活することができます。
    つまり、できることは可能な限り本人に任せて、自立を促すことが、排泄介助にとってとても大切だといえます。
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