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【2024年最新】臨床工学技士について徹底解説!

臨床工学技士は医学と工学の知識を併せ持つ医療機器のスペシャリスト。そんな臨床工学技士の仕事内容・活躍できる場所・給料などをまとめてみました。

臨床工学技士とは?

医療機器を使って患者さんの命を守る業務を行うのが臨床工学技士です。医師をはじめ、看護師などと共に医療機器を用いたチーム医療の一員として生命維持をサポートしています。
医療機器を扱う仕事はほかにも診療放射線技師や臨床検査技師がありますが、この中で人工心肺装置や人工呼吸器など患者さんの命に直結する「生命維持管理装置」を扱うのは臨床工学技士のみです。病院のエンジニアとして医療機器の保守・点検・管理もこなし、近年ますます発展する高度医療を支える医療機器のスペシャリストとして現場では欠かせない存在となっています。
臨床工学技士の制度が出来たのは比較的新しく、1987年に制定されました。臨床工学技士になるには定められた学校を卒業し国家試験を受ける必要があります。1987年5月に制定された「臨床工学技士法」に基づく医学と工学の両面を兼ね備えた国家資格です。

臨床工学技士の具体的な仕事内容は?

臨床工学技士は病院内で、医師・看護師や各種の医療技術者とチームを組んで生命維持装置の操作などを担当しています。また、医療機器が何時でも安心して使用できるように保守・点検を行っており、安全性確保と有効性維持に貢献しています。臨床工学技士の代表的な業務の一例は下記のとおりです。

●人工呼吸関連業務
肺の機能が働かなくなり、呼吸が十分にできなくなった患者の呼吸を代行するための人工呼吸器という装置が装着されます。臨床工学技士は人工呼吸器が稼働している場所へ行き、安全に装置が使用されているか、また、装置に異常がないかなどを確認します。また人工呼吸器のメンテナンス・管理等も行っています。

●人工心肺業務
心臓手術の際、心臓や肺に代わる働きをする体外循環装置(人工心肺)を操作・管理します。使用するすべての機器の操作や使用前の点検などの業務を臨床工学技士が受け持ちます。

●血液浄化療法業務
体内の老廃物などを排泄あるいは代謝する機能が働かなくなった場合に行う治療で、血液透析療法、血漿交換療法、血液吸着法など様々な血液浄化療法があります。臨床工学技士は穿刺や人工透析装置の操作を行います。

●集中治療業務
集中治療室では心臓や頭などを手術をした患者さんや、呼吸・循環・代謝などの機能が急に悪くなり、命に関わる症状の患者さんを収容して集中的に治療を行います。臨床工学技士は、人工呼吸器や持続的血液浄化装置などの生命維持管理装置の操作や管理を行います。

●心臓血管カテーテル室業務
臨床工学技士は心臓病の診断をするための検査方法である、心臓カテーテル検査の一連の記録をするためにコンピュータを操作し、また、検査室内にある装置の操作を行います。緊急時には補助循環装置やペースメーカーなどを操作することもあります。

●高気圧酸素業務
高い気圧の環境下で酸素を吸入させ、血液中の酸素を増やす高気圧酸素療法は様々な疾患の治療に用いられます。臨床工学技士は、その装置の操作・管理を行います。

●ペースメーカー・ICD業務
不整脈の症状のある患者さんはペースメーカや、植込み型除細動器といった機器を体に植込む手術を行います。臨床工学技士は、その機器の管理や操作を行います。

●一般病棟業務
入院している患者さんに使用している人工呼吸器の設定・動作確認を行います。それぞれの患者さんに、適切に使われているかどうかをチェックします。

●医療機器安全管理業務
医療施設の様々な医療機器を、安全に使用できるよう、そして、機器の性能が維持できるよう保守・点検を行います。また医療機器の一括管理し、効率的で適切な運用ができるようにしています。他の医療スタッフに機器の正しい使用方法を伝えるのも臨床工学技士の仕事です。

臨床工学技士の活躍できる場所は?

臨床工学技士は病院や透析クリニックだけではなく、その専門性を活かし、医療機器メーカーで活躍するなど、幅広い分野で働いています。

病院

臨床工学技士の主な就職先として、民間病院や大学病院が挙げられます。国立病院や地方病院をはじめ、大学病院や赤十字病院、民間の総合病院など、規模の大きな病院では臨床工学技士が数多く働いており、求人も多くなっています。また、厚生労働省から、1病院に最低1人の臨床工学技士を置くよう推進されているため、これまで採用のなかった中小の病院でも、高度な医療機器に対応して、臨床工学技士の求人も増えています。

透析クリニック

糖尿病などによる腎不全の末期症状において、腎臓の機能が低下し、体中の水分や老廃物を尿として排出することが難しい患者さんに対し、血液透析や腹膜透析を行います。
血液透析を受ける患者の増加や、頻繁な病院通いが必要なことから、透析専門のクリニックがあります。慢性腎不全の患者さんでは、生涯を通して透析治療を受けます。
そのため透析クリニックでは、患者さんと長期的に関わり信頼関係を築いていくことができ、透析機械の保守・点検・管理を行い、安心・安全な透析治療をサポートします。資格者が多く働く職場です。

医療機器メーカー

医療機器メーカーでは、医療機器製品の開発や営業に携わる臨床工学技士もいます。
医療従事者に対して学会や研修会等で医療機器の説明を行うこともあります。また、医療従事者が正しく操作できるよう、自社の医療機器を導入する病院に同行して、機械のセールスポイントや使い方、メンテナンスの方法などを説明します。医療機器を扱う商社などでも、アプリケーションスペシャリストして活躍の場があります。
患者さんと直接触れ合う機会は少なくなりますが、医療機器の高度化・複雑化が進む中、医療機器を安全・安心に使用してもらうよう専門性を活かして、医療機器メーカーに携わることは、医療の質の向上に繋がり、患者さん一人一人の生命維持をサポートしています。

臨床工学技士になるには?難易度・合格率は?

受験のための要件

臨床工学技士になるためには国家試験を受験しなくてはなりません。
高校卒業後、文部科学大臣指定、厚生労働大臣指定の臨床工学技士養成校(大学、短期大学、専門学校)に3年以上通い、厚生労働省が定めるカリキュラムの条件を満たすことで、国家試験を受験することができます。
このほか、「臨床検査技師」「診療放射線技師」「看護師」の養成校を卒業している場合には、1年間専門科に通うことで受験資格を取得することが可能です。

国家試験の難易度や合格率

臨床工学技士は既定のカリキュラムを受けて卒業試験をパスし、しっかりと国家試験対策をしておけば極端に難しい試験ではありません。合格率は80%前後を推移しています。
医学知識だけでなく工学系の知識も問われますが、養成校で模擬試験や全国模試を実施しているのでしっかり復習しておきましょう。

臨床工学技士の平均的な給与は?

臨床工学技士全体の年収を平均すると、450万円前後になります。
年代別では20代の平均年収が340万円、30代が453万円、40代が492万円、50代が564万円、60代が800万円と、年齢が上がっていくごとに比例し、年収も上がっています。

臨床工学技士の給料は、病院の規模や種類、地域などによって大きな差があり、病院ごとに給与の幅は広く、レントゲン技師など、国家資格をもった医療スタッフと同程度というのが一般的なようです。勤務地による差も大きく、首都圏と地方では月収にして2万円ほどの差があるといわれています。

 

まとめ

  • 臨床工学技士は、厚生労働大臣が認定する国家資格。医療知識とともに、機械にも精通している工学的な知識も要求される仕事です。
    医療系の専門職(国家資格者)のなかでも比較的歴史が浅い職種ですが、医療技術の進歩に呼応して、高度化・複雑化する医療機器の操作や安全に作動させる保守点検など、臨床工学技士の需要は高まってきています。
    最近では、大きな病院やクリニックはもちろん、これまで採用のなかった中小の個人病院でも、臨床工学技士を雇うケースが増えています。医療機器を扱う専門職としての認知度やその役割は急ピッチで上昇中です。現在はまだ、人材が不足しており、将来的にもニーズは伸びていくと見られています。
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