病院や診療所などで医師や看護師と連携して患者さんのお世話や診療上の補助を行う准看護師。その仕事内容・活躍できる場所・給料などをまとめてみました。
准看護師とは?
准看護師は、看護師の国家資格とは異なり、都道府県知事による免許を取得することでなれます。看護師と同じ仕事に思われますが、大きなちがいは、准看護師は医師や看護師から指示をもらわないと仕事ができず、自ら判断して主体的に看護を提供することができないということです。
准看護師の利点は、資格を取得するまでの期間が短いこと、中学さえ卒業していれば、そこから准看護師養成所に通えばよいところです。これから看護の仕事に就きたいと思っている人で、中学卒の人、または高校を中退していて、高校の卒業資格がない人でも、すぐにチャレンジすることができます。
しかし、1990年代から厚生労働省は正看護師・准看護師を一本化する提言を出しており、准看護師は廃止の道をたどることが想像されます。日本看護協会では、正看護師を推奨ており、都道府県によっては、准看護師養成を停止しているところもあります。
准看護師の具体的な仕事内容は?
准看護師の仕事の範囲は看護師と変わりません。医師から指示を受けた看護師が、患者さんの看護計画を立案し、それに沿って業務を行います。そのため、血圧・体温・脈拍などの測定、点滴、注射・採血、食事介助、排せつ介助、入浴介助、体位変換、手術の補助、夜勤巡回、患者さんの移送、カルテの記載、カンファレンスへの参加など、看護師と同じように行います。
前述したように、准看護師は医師や看護師の指示のもとに業務にあたらなければいけません。そのため、自らの判断で業務をおこなったり、看護師に指示を出したりすることはできません。
准看護師の活躍できる場所は?
看護師の約7割が病院で働くなか、准看護師は診療所(入院施設をもっていないか、もっていても20床以下)でも多く働いています。これは医療現場の看護師不足を背景に、診療所や介護施設等で准看護師の求人が増えていることが一因として考えられます。准看護師は介護福祉士にはできない医療行為が可能なことから、近年特に高齢者施設などで需要の拡大が見込まれています。
准看護師が働いている場所の割合は以下のとおりです。
・病院:38.7%
・診療所(クリニックや医院など):36.2%
・介護老人保健施設:6.2%
・居宅サービス等:8.6%
・介護老人福祉施設:5.1%
・社会福祉施設:2.7%
・訪問看護ステーション:1.3%
・都道府県:0%
・市町村:0.3%
・事業所:0.4%
・保健所:0%
・看護師等学校養成所・研究機関:0%
・その他:0.5%
准看護師になるには?難易度・合格率は?
准看護師になるためのステップは、中学を卒業後、准看護師養成所(2年間)、もしくは、高等学校衛生看護科(3年間)を卒業すると、各都道府県が行う准看護師試験を受ける資格が得られます。その試験に合格すると、都道府県知事から准看護師の免許が交付され、准看護師として働くことができます。この免許は全国で通用します。
働きながら准看護師になるためには、中学校卒業者であれば准看護師養成所、高等学校の卒業者であれば准看護師養成所か専門学校に通って、准看護師試験の合格を目指すのが一般的です。なお、通信課程は設けられていません。
准看護士試験は各都道府県によって出題される問題が違います。難易度は県によって多少ばらつきはあるものの、合格率は全国平均97~98%と非常に高い水準を保っています。
准看護師の平均的な給与はどのくらい?
准看護師全体の平均年収は約405万円。平均月収が約28.3万円、賞与は約65.7万円程度です。この金額は残業代や各種手当が含まれ、さらに税金が引かれることを考慮してください。
まとめ
- 厚生労働省では、准看護師制度を廃止し看護師養成制度を一体化するという報告をまとめています。しかし、日本医師会は准看護師制度を擁護する立場をとっており、看護師養成制度の一本化については現在も検討中です。
准看護師全体の人数は減少傾向です。しかし、「働きながら資格取得が目指せる」「学費が安い」「資格取得までの期間が短い」などのポイントは、准看護師を目指すメリットとして挙げられます。また、看護師不足を背景として、クリニックや介護施設等では、准看護師のニーズが高まっています。一方、業務内容が変わらないにも関わらず「看護師と比べて給与が低い」「役職に就きづらい」といった就業上のデメリットがあることも事実です。
准看護師を目指すか、看護師を目指すか、自身の状況や働き方の希望に合わせて考えてみましょう。
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