少子高齢化が進む日本では、高齢者や障害者の数が増加し機能訓練に関わる仕事の需要が増加しています。そんな福祉・介護の『機能訓練』に関する仕事にはどんな資格があるでしょうか。仕事内容やリハビリとの違いなどと一緒に解説していきます!
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機能訓練の仕事とは?
機能訓練指導員は、介護保険法によって定められている職種のひとつです。病気や怪我、高齢などの理由で身体に障害を持つ施設利用者に対して、日常生活を営むために必要な機能を改善、または現状の能力の維持や減退の防止のために訓練を行います。できる限り自分で身の回りのことができるように支援していく役割を担っています。
主な仕事内容
・歩行訓練、マッサージ、筋力トレーニングなど、利用者の症状に合った回復訓練
・利用者の心身機能評価
・レクリエーションの実施
・利用者一人ひとりに合わせた機能訓練計画書(運動プログラムや訓練内容)の作成
・利用者に合った車イスや補助具、自助具の選択
・他の介護スタッフに対して、自立支援に基づいた介助の提案と指導 など
機能訓練計画書は利用者やその家族の意向を聞き取りながら、心身の向上・維持ができるように一人ひとりに合わせた計画書を作成します。機能訓練はこの計画書に沿って実施します。機能訓練計画書は3ヶ月ごとに見直すことが決められており、経過や状態などを踏まえてその後の機能訓練に反映させていくことも大切な仕事です。
どんな資格がある?
機能訓練指導員は、特別養護老人ホームやデイサービスセンターに、必ず一人以上配置をすることが定められています。「機能訓練指導員」という資格はなく、介護施設や病院で機能訓練指導を専門的に行うスタッフのことを機能訓練指導員と言います。機能訓練指導員という職種に就くためには国家資格を取得しなくてはなりません。主な資格について、個別にその特徴の紹介をしていきます。
理学療法士
理学療法士は、筋力が低下していく高齢者に対して、運動療法を用いて筋力低下の予防や、筋力の増強をはかる仕事を行っています。また、腰痛や膝痛などを抱えている要介護者に対しては、電気や温熱を用いた物理療法も行います。
作業療法士
要介護者は入浴や排泄、料理など、生活するための動作に支障を抱えており、支援なしではQOL(生活の質)の低下は避けられません。そこで、工作や手芸などの作業を通じて、予防や回復を目指すのが作業療法士です。
言語聴覚士
要介護者には、言葉が不自由になっている人や耳が遠くなっている人もいます。指導や訓練を通じて、言語や聴覚機能低下の予防や回復を行うのが言語聴覚士です。
高齢者にとって、命にかかわる肺炎の原因としてあげられる嚥下障害(食べる機能の障害)についても指導を行います。
はり師 及び きゅう師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師
それぞれ専門的な技術により痛みを取り除くほか、デイサービスなどで機能訓練指導員として勤務し、運動機能の回復のための指導を行います。
機能訓練とリハビリの違いは?
「機能訓練」と、よく耳にする「リハビリ」には違いがあります。大きな違いは、医師の指示に基づいているかいないかということです。
機能訓練は「機能訓練指導員が中心」
機能訓練とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、 看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの機能訓練指導員が中心となり提供する訓練のことです。
通所介護などの介護現場において、医師の指示に基づかず、機能訓練指導員が中心となって、利用者の日常生活に必要な機能の「維持・改善」を目的とし、訓練を行います。さらに、介護保険が施行され、テーマとなる自立支援を実現していくためには「予防」という観点が非常に重要になります。
リハビリは「医師の指導のもと」
リハビリテーションとは医師の指示に基づき、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職種が提供する訓練のことです。
医師の指導のもと、「機能の維持、回復」を目的とし行う治療行為をさします。
これらの言葉は、法律的な違いはなく、ほとんど同じ意味として使われています。現場でこのような意味の違いが問題になることは少ないと思いますが、市町村によっては機能訓練計画書の文言としてリハビリと機能訓練の言葉の使い方を分けるようにという指導もあると報告されています。
まとめ
機能訓練指導員は、患者さんや利用者さんと一緒に機能訓練プログラムを考え、生活するうえで必要となる能力の向上・維持ができるよう、指導と訓練を行います。その人らしい生活を取り戻すための手助けをするやりがいのある仕事です。スキルが求められることから、ある程度の経験を積んでおりキャリアが成熟している方も向いているといえるでしょう。
機能訓練指導員は需要が高く、比較的高収入の待遇を得やすくなるため、これから介護分野・医療分野で働きたい人にとってもおすすめです。国家資格の取得は、自分のスキルと市場価値を高められるため、その点もふまえ資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。