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入浴介助の手順とポイントを分かりやすく徹底解説

高齢者が気持ちよく過ごせるために、そして健康でいるためにも重要な入浴介助。
体を綺麗に保つということは、人として最低限の欲求であり、尊厳の維持にもつながります。
入浴介助を行う上で気をつけるべき手順、ポイントについて解説していきます!

入浴介助の手順と注意点

入浴介助は体力も時間も必要なので大変です。
その苦労を軽減するために必要なのが事前の準備(物品の準備や確認を忘れないことが、事故や体調の悪化の防止につながります)であり、ポイントを知っておくことです。

入浴前に注意するポイント

・入浴前には「体温」「脈拍」「呼吸」「血圧」の健康チェックは忘れずに行います。また、利用者の記録から既往症や普段の状態を確認しておきます。
見た目は変化が見られなくても、いつもと異なる状態の場合は入浴を控えます。
ふらつきがあったり、睡眠時間が短い、食欲がない、皮膚に炎症がある、下痢などという場合も入浴は控えましょう。
・空腹時や食事の直後の入浴も避けましょう。
・ヒートショック対策をする。

入浴中に注意するポイント

①足元に注意しながら、シャワーチェアに腰をかけてもらいます。
手すりがある場合は、手すりにつかまってもらいましょう。そして、足元からゆっくりお湯をかけていきましょう。
温度を確認しながら、少しずつ慣れてもらいます。お湯をかける際に必ず声をかけるようにしましょう。

②ある程度体が温まったら、頭部から洗っていきます。
頭皮を洗うときには、指の腹でやさしくこすります。シャンプーの流し残しがないように、すすぎはしっかりおこないましょう。
整髪時に髪のもつれが見られる方にはリンスやコンディショナーを用いましょう(ただし、浸けおき時間が短いものを使いましょう)。

③体はボディタオルやスポンジ、または軍手や素手でやさしく洗います。
高齢者の方は皮膚が弱いことが多く、力を入れてこすると傷つきやすいので注意しましょう。
汗をかきやすい場所(脇、乳房の下、肘や膝の内側など)は、とくに洗い残しがないように気をつけてください。また、排泄物で汚れやすい陰部もしっかりと洗っておきましょう。

④体を洗い終わったら、お湯に浸かります。
手すりをつかんでもらったり、体を支えてあげたりしながら、ゆっくりと浴槽に入ってもらってください。この際、心臓に遠い部分からお湯に浸かるように注意をしましょう。のぼせてしまう危険もあるので、お湯に浸かる時間は5分程度に留めてください。浴室から出るときも、バランスを崩さないよう支えながら、ゆっくりと出ましょう。

入浴後に注意するポイント

①体や頭部の水分をしっかりタオルで拭き取ります。
とくに足の裏が濡れたままだと転倒のもととなりますので、十分に拭き取りましょう。

②清潔な衣服へ着替えをします。
入浴後は血圧の変動でふらついてしまうこともあるので、椅子に座ってゆっくりと着衣をおこないます。

③入浴後の体調変化に気をつけ、しっかり水分補給をしてもらいましょう。

④入浴後は皮膚や爪が柔らかくなりますので、必要に応じて保湿剤を塗ったり、爪切りをしたりするとよいでしょう。
皮膚科で処方されている軟膏なども、入浴後の皮膚がきれいになったタイミングで塗ると効果的です。

⑤入浴前と同様に、血圧や体温などを測り、異常がないかチェックしましょう。

ポイント

転倒したりおぼれたりと、入浴介助は危険と隣り合わせです。
入浴時に事故が起こらないよう、入浴環境の整備や事前準備はもちろん、目配りの行き届いた丁寧な介助が必要になります。
また、身体を洗う際は、なるべく利用者自身に洗ってもらうようにします。
おなかや背中、足元に手を伸ばすだけでも、有効なリハビリになるためです。

体の状態を観察する

皮膚の乾燥、傷がないかなどをチェック。寝たきりでなくても、座っている時間が多いと、腰などに褥瘡ができることもあります。
また、病気や怪我のために、皮膚が腫れたり、ただれたり、赤くなったりしていることも。入浴時は全身を見ることができるので、異常の有無を確認する機会にしましょう。

体調が悪いときは絶対に無理をしない

体を清潔にすることは大切ですが、体調が悪いときに無理をする必要はありません。
そのようなときは、入浴の代わりに温かいタオルで体を拭いたり、足だけをお湯につける「足浴」をおこなったりしてもよいでしょう。
清拭は血行を促し、床ずれや細菌感染の予防にもつながります。さまざまな清拭剤も市販されているので、石けんが使えない場合やお年寄りの状態に合わせて、上手に使えば便利です。室温は22〜26℃に保ち、バスタオルをかけて露出部分を少なくして行ないます。顔から始め、両腕、胸、腹、背中、お尻、下肢、陰部の順で進めますが、全身を一度でふこうとすると時間がかかり、お年寄りも介護者も疲れます。

安全を最優先する

自宅の浴室で入浴介助をおこなう場合、設備や広さなど、どうしても施設と同じようにはできません。その分だけ安全には十分に配慮する必要があります。
脚がしっかりしていて適度な高さのあるシャワーチェアや、転倒防止のマット(浴室フロア用と浴槽内用)、手すりを備えるリフォームなど、設置できるものを最大限に利用しましょう。

できるところは自分でやってもらう

入浴介助をしていると、本人ができるところまでついつい手を出してしまいがちです。そこはグッとこらえて、できるところは自分でやってもらうように心がけましょう。
本人にできることをやってもらうのは、ADL(日常生活動作)の維持にもつながってきます。

 

まとめ

  • 健康なときは何気なく行っている入浴ですが、自分でできなくなると生活の質が大きく下がってしまいます。
    清潔を保つことはもちろん、入浴を毎日の楽しみにしていたという方も多く、できなくなったときの落胆は大きいです。
    入浴には身体を清潔に保つことに加えて、血行をよくし筋肉の緊張をほぐす効果がある一方、入浴時には体温や血圧が上がり、体調が悪くなる危険もあります。
    介助のスキルは経験値も重要ですが、手順や準備をしっかりし、限られた時間で、清潔を保ち、安心して介助をしていきましょう!
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