
食事は利用者様にとって、一日のうちで最も楽しみな時間の一つです。しかし、一歩間違えると誤嚥(ごえん)などの事故に繋がるリスクも孕んでいます。
今回は、安心・安全で、かつ「おいしい」と感じてもらえる食事介助の基本を5つのステップで解説します。
Contents
食事前の準備:姿勢が「飲み込み」を左右する
まずは、食べ物がスムーズに食道へ流れる「姿勢」を作りましょう。
・正しい姿勢: 椅子に深く腰掛け、足の裏がしっかり床についている状態がベストです。
・あごを引く: あごが上がると気道が広がり、誤嚥しやすくなります。軽くあごを引いた姿勢を保てるよう、クッションなどで調整します。
・口腔ケアと覚醒: お口の中が乾いていると飲み込みにくいため、事前にお茶で潤したり、口腔体操で唾液を出したりします。また、しっかり目が覚めていることを確認してください。
介助者の位置:目線の高さを合わせる
介助者の立ち位置一つで、利用者様の安心感は大きく変わります。
・隣に座る: 立ったまま介助すると、利用者様が上を向いてしまい(あごが上がる)、誤嚥のリスクが高まります。必ず椅子に座り、利用者様よりも「やや低い目線」で接しましょう。
・利き手側から: 基本的には利用者様の利き手側、または麻痺のない側に座ります。
介助の実践:ペースは利用者様に合わせる
「食べさせる」のではなく「食事のお手伝いをする」という意識が大切です。
・献立の説明: 「今日は彩りの良い煮物ですよ」など、何を食べるか伝えることで視覚・聴覚からも食欲を刺激します。
・スプーンの運び方: 下からスプーンを運び、下唇の上にそっと置きます。利用者様が自分の口を閉じ、上唇で食べ物を取り込むのを待ちましょう。
・一口の量: ティースプーン1杯程度が目安です。多すぎると丸飲みになりやすく危険です。
飲み込みの確認:「ゴックン」を確認してから次へ
最も重要なのが、しっかり飲み込んだかどうかの確認です。
・のどの動きを見る: 喉仏が上下に動いたか(嚥下したか)を必ず目視で確認します。
・交互嚥下(こうごえんげ): おかずの間に、お茶や汁物を挟むことで、お口の中に残った食べ物を流しやすくします。
・お口のチェック: 認知症の方などは、口の中に食べ物を溜め込んでしまう「ため込み」が起こる場合があります。次の一口を運ぶ前に、口内が空になっているか確認しましょう。
食後のケア:30分は体を起こしておく
食後すぐに横になると、逆流による誤嚥を起こす可能性があります。
・座位の保持: 食後30分程度は座った姿勢(または上体を起こした状態)を保ちます。
・口腔ケア: 食べかすが残っていると、細菌が繁殖して「誤嚥性肺炎」の原因になります。食後は丁寧にお口の中を清掃しましょう。
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